平成14年度に日本薬学会化学系薬学部会が発足いたしました。それに伴い、平成15年度から本部会主催のシンポジウムのひとつとして「次世代を担う有機化学シンポジウム」が、一般講演を中心としたシンポジウムとして開催されています。本シンポジウムにおきましては、大学・研究所・企業の若手研究者を中心に口頭発表を募りたいと考えております。
モノづくりは薬学の原点であり、その一翼(主役)を担うのが有機化学であります。日本の有機化学は薬学から出発した歴史的経緯もあり、薬学会からは明治から現在に至るまで多くの優秀な人材が輩出され、天然物合成、不斉合成、有機金属化学、複素環化学、分子認識など多くの分野にわたって素晴らしい成果を残しています。過去に大きく進歩した分野に加え、これからの有機化学にはポストゲノム時代を視野に入れた創薬化学、グリーンサステイナブルケミストリー、異分野との融合など、従来の研究領域にとらわれないさらなる展開も求められています。このような未来の有機化学の発展を担うのは若き研究者たちであり、将来にわたって薬学会をリードしていく人材として成長していくことが期待されています。
上述のような趣旨に基づき、本シンポジウムでは成長過程にある若手研究者が、自らの成果と今後の展望について自由に口頭発表し、討論することを目的とします。また、学会の国際化が求められている昨今の状況を鑑み、一部の講演は英語にて行うことで対応を図ります。演題は有機化学およびその周辺分野の基礎研究から応用研究までの広い範囲から募りたいと考えております。講演者は「自ら考え、自ら手を動かし、自分の目でフラスコを見ている」大学や研究所、企業の第一線の有機化学系若手研究者(20〜30代)で構成します。本シンポジウムが若手研究者にとっては自らの存在をアピールする絶好の機会となり、すでにエスタブリッシュされた先輩研究者にとっては次世代を担う研究者および研究を理解、支援、あるいは指導する場になるよう希望いたします。また、本シンポジウムは実行委員会を30代〜40代前半の研究者に限定し、常に講演者と近い年代のオーガナイザーが運営に努めます。このような実行委員会の構成は、シンポジウム自体の新陳代謝を促すとともに、多くの若手研究者に学会運営を実際に体験することで今後の薬学会の活動により参加しやすくするためでもあります。
本シンポジウムが若手研究者にとって一層の飛躍の一助となると同時に、全ての世代の研究者への刺激となることを願っております。