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第3代部会長 橋本 俊一 教授からのメッセージ

第3代部会長 橋本 俊一 教授

化学系薬学部会は、有機化学系領域全般にわたる広範囲な部会として、学術研究のみならず教育にもわたる議論の場とすることを目的として2002年に設立されました。

小笠原國郎先生、樹林千尋先生、正木幸雄先生が部会世話人代表として部会活動の基盤整備に取り組まれ、そして部会長として富岡 清先生、北 泰行先生が部会活動のさらなる活性化のためにご尽力されました。

この場をお借りして各先生方に敬意を表したく思います。

本部会活動の大きな柱は、若手研究者を中心とする「次世代を担う有機化学シンポジウム」と「反応と合成の進歩シンポジウム」の開催です。いずれも毎年盛会で、大変質が高く多岐にわたる研究成果が発表されており、我が国の有機化学分野のシンポジウムの中でもその存在感を十分に発揮しています。

薬学以外の分野からの発表、参加者が増えているのは大変喜ばしい状況です。

また、「反応と合成の進歩シンポジウム」では、優れた発表をした日本薬学会学生会員に対して優秀発表賞が設けられています。

一方、教育面につきましては、薬学部6年制がスタートした2006年に薬学教育協議会のもとで、私立大学の教員が毎年開催してきた「薬品製造(化)学教科検討委員会」が国公立大学の教員も加えた「有機化学系教科担当教員会議」として再編成されました。

この会議では、6年制および4年制が並立した新制度での有機化学の教育・研究について大変熱気にあふれたパネルディスカッションが行われています。なお、2008年からは「反応と合成の進歩シンポジウム」の前日に開催されることになりました。

資源のない我が国は、知恵で生きていくしかありません。

最たるものが科学技術です。その基盤をなすのは「ものづくり」です。

その一翼を担う有機化学は、分子レベルでの「ものづくり」に挑戦する学問です。

現在、我が国の有機化学は世界のトップレベルにあります。今後も世界をリードし続けていくためには、その基本となるコンセプトそのものを造り出して磨きあげることが益々重要な課題となっています。

本部会は、有機合成化学、創薬化学、天然物化学、物理有機化学、生物有機化学等を含む広範な有機化学を対象としていますが、いずれの分野にも共通しているのは、有機化学を創薬におけるサイエンスの根底をなす学問として捉えている点にあります。

実際、創薬は我が国の科学技術戦略の最優先課題の一つにあげられています。大学や研究機関においては、基礎研究面で「もの(薬)づくり」に大きく貢献する学術的価値の高い画期的な成果が期待されています。本部会と協賛関係にある医薬化学部会の主体をなす製薬企業においては、画期的新薬の創出によって、世界のリーダーシップを取って頂きたいと切望しています。

本部会の最も重要な使命の一つは、将来我が国のみならず世界の有機化学をリードする若手研究者の育成にあります。

嬉しいことに、すでに「次世代を担う有機化学シンポジウム」の企画・運営に携わった若手研究者の中から、何人もの教授が誕生しています。

ともすれば、最近は流行りの研究を求める風潮がありますが、若手研究者には本当に自分がやりたい研究テーマに全力を傾けてもらいたいと思います。その精神がオリジナルな研究を生み出す源泉だと思います。人と違うことをやって是非結果を出して頂きたいと願っています。 我が国には有機化学に関係する学会・部会がいくつもあります。

化学系薬学部会のアイデンティティーをさらに高めるよう努力していきたいと考えています。

皆様方の一層のご支援・ご協力をお願い申し上げます。